五重塔と千畳閣(初めての宮島 その3)
「芝居茶寮 水羽」を出て厳島神社の入口に向かうと、右側の丘の上に2つの建物があります。
ひとつは朱の色が鮮やかな五重塔。
そしてもうひとつは、千畳閣(豊国神社)。
いずれも国の重要文化財に指定されています。
まずは五重塔。
五重塔は、和様と唐様を巧みに調和させた建築様式で、桧皮葺の屋根と朱塗りの柱や垂木のコントラストが美しい塔です。高さは27.6m。応永14年(1407年)に建立されたものと伝えられており、現存する五重塔としては法隆寺の五重塔から数えて7番目にあたるそうです。内部は完全な唐様で、一般の見学はできませんが、内陣天井に龍、外陣天井には葡萄唐草、来迎壁の表には蓮池、裏には白衣観音像などが極彩色で描かれているそうです。そして中心柱が二層で止まっている独創的な構造をしています。
この五重塔は私のお気に入りになりました。
宮島のこの地に建てられ、どこからでも目に入ってくる存在感とその優美さは私を虜にしてしまったようです。
今回の最も多い写真の被写体の1つとなったことは言うまでもありません。
そして、次にその横にある千畳閣(豊国神社)。
豊国神社は、天正15年(1587年)、豊臣秀吉が戦で亡くなった者への供養として毎月一度千部経を読誦するため、政僧・安国寺恵瓊に建立を命じた大経堂です。島内では最も大きな建物で、畳857枚分の広さがあることから千畳閣と呼ばれてきました。秀吉の急死によって工事が中止されたため、御神座の上以外は天井が張られておらず、板壁もない未完成のままの状態で現在に至っています。江戸時代、既にここは交流の場・納涼の場として人々に親しまれていたようで、大きな柱には当時の歌舞伎役者一行の名や川柳などが記されているそうです。明治の神仏分離令により仏像は大願寺に遷され、秀吉公を祀る豊国神社となり、現在に至っています。
この千畳閣は、厳島神社の方から見上げると、まずその手前にある大きなイチョウの木が目に入ってきました。
黄色に色づき、横の五重塔の朱ともマッチしてとてもインパクトがありました。
そして千畳閣はその背後にどっしりと建っています。
逆に千畳閣からは厳島神社が見下ろして見えるとともに、向かいの大聖院や多宝塔、逆方向は宮島桟橋、そして対岸の宮島口側と見ることができます。
千畳閣の中の様子と天井
「宮島の杓子」のいわれ(クリックすると大きくなります)
また、これらが建っている搭之岡は、厳島合戦時には、陶軍の本陣が設けられた場所です。
2つの建物をあとにして、厳島神社へと向かいました。
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